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OniGO通信

牛乳には鉄分がごく僅かしか含まれていません。しかし、牛乳には鉄の吸収率を上げる成分が含まれており、鉄分を含む食品と一緒に摂取することで効率よく鉄分を摂取することができます。この記事では、鉄の吸収率を上げる効果がある牛乳に着目し、牛乳と貧血の関係についてや、牛乳と鉄分が豊富な食材を組み合わせて作る貧血予防メニューなどをご紹介します。

目次



1. 牛乳は鉄の吸収率を上げる効果がある飲み物です
   牛乳は栄養たっぷり!


2.牛乳と鉄分の多い食品を一緒に摂取して貧血予防!

① 鉄は2種類!「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があります

② 牛乳と一緒に摂取したい鉄分を多く含む食材


3. 日本人女性の65%はかくれ貧血(潜在性鉄欠乏症)!

4. 鉄分が摂れる牛乳を使ったおすすめレシピ
   ①あさりと牛乳で鉄分×カルシウム補給!クラムチャウダー
   ②さらっと飲めて朝にぴったり♪ほうれん草のミルクスープ

5. 牛乳を飲むと貧血になるって本当?
   ①コップ1~2杯程度の牛乳を毎日飲んでいるだけでは貧血になりません
   ②ただし、乳児(1歳未満)の牛乳摂取には注意が必要!
   ③カルシウムの過剰摂取は鉄の吸収を阻害することがあるので、カルシウムの摂りすぎには気を付けましょう。

6.まとめ

牛乳は鉄の吸収率を上げる効果がある飲み物です


牛乳は栄養たっぷり!


項目
栄養充足率
(内訳)栄養素量 / 食事摂取基準
エネルギー
(kcal)

7.1%

138 / 1,950
たんぱく質
(g)

13.6%

6.8 / 50
脂質
(g)

14.4%

7.8 / 54
**
炭水化物
(g)

3.5%

9.9 / 280
**
ナトリウム
(mg)

3.1%

85 / 2,756
**
カリウム
(mg)

11.9%

310 / 2,600
**
カルシウム
(mg)

34.9%

227 / 650
マグネシウム
(mg)

7.8%

21 / 270
リン
(mg)

24.0%

192 / 800
***
(mg)

0.4%

0.04 / 10.5
亜鉛
(mg)

10.0%

0.8 / 8
(mg)

2.5%

0.02 / 0.8
ビタミンA
(μgRAE)

12.0%

78 / 650
ビタミンD
(μg)

10.9%

0.6 / 5.5
***
ビタミンE
(mg)

3.3%

0.2 / 6
***
ビタミンK
(μg)

2.7%

4 / 150
***
ビタミンB1
(mg)

7.3%

0.08 / 1.1
ビタミンB2
(mg)

25.8%

0.31 / 1.2
ナイアシン
(mgNE)

11.8%

1.3 / 11
ビタミンB6
(mg)

5.0%

0.06 / 1.2
ビタミンB12
(μg)

25.0%

0.6 / 2.4
葉酸
(μg)

4.2%

10 / 240
パントテン酸
(mg)

28.5%

1.14 / 4
***
ビタミンC
(mg)

2.0%

2 / 100

0

  10

  20

  30

  40

50(%)

:推奨量
**:目標量
***:目安量

引用/文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)、J-ミルク 牛乳乳製品の知識 改訂版


このように、牛乳にはビタミンやミネラルなどの栄養分が豊富に含まれています。鉄に関しては200g中0.04mgとごく僅かな量しか含まれていないのですが、牛乳の乳糖という成分は、腸管で鉄分の吸収率を高める働きがあります。
牛乳と鉄分を含んだ食品を一緒に摂ると牛乳の乳糖の働きによって鉄分が体内に吸収されやすくなるので、貧血の予防が期待できます。鉄分を含む食品を一緒に摂取し、必要な鉄分を補っていきましょう。
鉄分を含む食品を摂取する際の注意点として、コーヒーや緑茶、紅茶などに含まれるタンニンという成分は鉄の吸収を悪くするので、食事の前後に飲むのはなるべく控えるようにしましょう。

参考/J-ミルク 牛乳乳製品の知識 改訂版J-ミルク find New 牛乳乳製品の知識 牛乳の炭水化物

牛乳と鉄分の多い食品を一緒に摂取して貧血を予防しよう!


日本人の1日の鉄分摂取の推奨量は成人男性で1日あたり7.0~7.5mg、月経のある成人女性は10.5~11.0mgと言われています。鉄分は栄養素の中でも吸収率が低いため、毎日積極的に摂取し、食生活で貧血予防をしていきましょう。ここでは、牛乳と一緒に摂取したいおすすめの食品をご紹介します。
参考/厚生労働省 鉄の食事摂取基準(mg/ 日)

鉄には2種類「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があります


鉄には肉や魚に含まれるヘム鉄と、野菜などに含まれる非ヘム鉄があります。ヘム鉄は非ヘム鉄よりも吸収が良く、ヘム鉄を利用することで非ヘム鉄の吸収もよくなります。また動物性タンパク質やビタミンCを一緒に摂ると吸収しやすくなります。

参考/厚生労働省 e-ヘルスネット[情報提供]



非ヘム鉄はヘム鉄に比べると吸収率が低いので、鉄分の吸収を助ける成分を持つ牛乳やチーズなどのタンパク質と一緒に摂取しましょう。

牛乳と一緒に摂取したい鉄分を多く含む食材

順位 食品名 鉄分含有量(mg / 食品100gあたり)
1 バジル/粉 120.0
2 タイム/粉 110.0
3 赤こんにゃく 78.0
4 干し青のり 77.0
5 あゆ(魚類) 63.0
6 干しかわのり 61.0
7 干しひじき 58.0
8 セージ/粉 50.0
9 干し岩のり 48.0
11 あわび塩辛 34.0
12 干しやつめ 34.0
13 あさり缶詰(水煮) 30.0
14 カレー粉 29.0
14 チリパウダー 29.0
16 あさり缶詰(味付け) 28.0

表の中には日ごろ見かけることが少ない食品も含まれていますが、ひじきやあさりはスーパーで簡単に手に入ります。積極的に摂取するよう心がけましょう。

参考/文部科学省 食品成分データベース明治の食育



日本人女性の65%はかくれ貧血(潜在性鉄欠乏症)!


日本は貧血大国といわれており、貧血で悩んでいる方も多いのではないでしょうか。厚生労働省がまとめた国民健康・栄養調査報告によると、日本人の10%は貧血といわれ、さらに20代~40代女性に絞ると21%が貧血、65%もの人がかくれ貧血といわれています。かくれ貧血は、血液検査で貧血の診断がされていないものの、身体の鉄が不足している状態をいいます。そのままにしておくと貧血に繋がるおそれがあるので、日ごろから鉄分を多く含む食品を摂るようにしましょう。

特に、月経がある女性は貧血になりやすい傾向があります。鉄欠乏性貧血といわれる体内の鉄が不足することによっておこる貧血が最も多く数を占めており、鉄欠乏性貧血には、下記のような症状が現れます。



参考/MSDマニュアル家庭版

貧血を予防するには鉄を多く含む食品を摂取することが大切です。三食きちんと食べているか、極端なダイエットで栄養が偏っていないかなど、普段の生活をもう一度見直してみましょう。

鉄分が摂れる牛乳を使ったおすすめレシピ


あさりと牛乳で鉄分×カルシウム補給!クラムチャウダー


材料(2人分)

・冷凍むきあさり 250g
・たまねぎ 1/2個
・じゃがいも 小1個
・にんじん 1/3本
・にんにく 1/2かけ
・牛乳 200ml
・コンソメ 小さじ1/2
・バター 10g
・サラダ油 大さじ1/2
・小麦粉 小さじ2
・塩 少々
・胡椒 少々
・ドライパセリ お好みで

作り方

①   あさりを流水にさらし、表面の氷をとり半解凍します。
②   にんにくはみじん切り、たまねぎ、じゃがいも、にんじんを1センチに角に切ります。
③   サラダ油を熱した鍋ににんにくを加え炒めます。
④   にんにくの香りが出てきたらたまねぎ、じゃがいも、にんじんをを入れて炒め、小麦粉を全体に混ぜ合わせます。
⑤   水300mlとコンソメを加え、具材が柔らかくなるまで煮込みます。
⑥   具材が柔らかくなったら、牛乳と①のあさりを加えて煮立てます。
⑦   弱火にし、バター、塩、胡椒で味を整えたら完成!

さらっと飲めて朝にぴったり♪ほうれん草のミルクスープ

材料(2人分)

・☆ほうれん草 1束(200g)
・☆ベーコン 2枚
・☆たまねぎ 1/4個
・☆しめじ 1/2株
・牛乳 200ml
・バター 大さじ1
・コンソメ 小さじ1
・塩 少々
・胡椒 少々


作り方



①   ほうれん草を下茹でし、3センチ間隔に切ります。玉ねぎは薄切り、ベーコンは1センチ間隔に切り、しめじは石づきを取りほぐします。
②   鍋にバターを溶かし、☆の材料を入れ、玉ねぎが透き通るまで炒めます。
③   具材が入っている鍋に牛乳、水100ml、コンソメを入れます。
④   煮立ってきたら塩、胡椒で味を整えて完成です。

牛乳を飲むと貧血になるって本当?


大人であれば牛乳で貧血になる心配はほとんどありません


牛乳には鉄分がほとんど含まれておらず、牛乳1Lで鉄分は0.2mgしか供給できないので、牛乳だけ飲むという食生活を送っていた場合、貧血になる可能性はあります。

しかし、多くの人は、主食、副菜、主菜、果物などの食事から栄養を摂取しながら牛乳を飲んでいます。その場合、食事から鉄分を補給できていれば牛乳で貧血になる心配はありません。牛乳を飲むと貧血になるのではなく、牛乳だけに頼った食生活を送っていると、結果的に鉄分不足による貧血が起こる可能性があるというものです。

成人の場合、1日の牛乳摂取量はコップ1杯(200ml)程度、育ち盛りの中高生はコップ1杯(200ml)~1.5杯(300ml)程度が目安です。なお、乳幼児は牛乳を与える際に下記の注意点があります。

乳児(1歳未満)の牛乳摂取には注意が必要!


1981年、幼児期に牛乳を1日600ml以上を3ヵ月以上にわたって摂取したことで、離乳食の摂取量が少なくなり結果として鉄欠乏状態になった特殊例があります。牛乳コップ1杯(200ml)には鉄分は0.04mgしか含まれておらず、牛乳だけで必要鉄分を摂取することはできません。牛乳は離乳食の味付けとして使用し、飲用としては1歳を過ぎてからにしましょう。
参考/J-ミルク 牛乳乳製品の知識 改訂版

幼児期(1~5歳)の牛乳を与える量について


1歳以降は飲用として牛乳を与えることができます。しかし、飲みすぎは肥満や貧血につながることもあるので、1日400ml以下程度が適量です。牛乳だけに頼らず、栄養バランスのいい食事を摂りましょう。
参考/J-ミルク 牛乳乳製品の知識 改訂版

カルシウムの過剰摂取は鉄の吸収を阻害することがあるので、カルシウムの摂りすぎには気を付けましょう。


カルシウムの摂りすぎは鉄などの他のミネラルの吸収を阻害してしまいます。また、リンを過剰に摂取するとカルシウムの吸収が阻害されます。栄養が偏らないようにバランスよく食べることが大切です。
参考/農林水産省 みんなの食育

カルシウムの摂りすぎとは、どれくらいの量?


厚生労働省では、成人・高齢者のカルシウムの耐容上限量は男女共2500㎎と設定されています。
カルシウムの推奨量は成人男性では700~800mg、成人女性は650mgと設定されています。成人男性が1日に必要なカルシウム推奨量700mgを摂取するには牛乳3.5杯分に相当し、耐容上限量は12.5杯分の牛乳を摂取することになるので、過剰摂取の心配をしすぎる必要はありません。成人の場合、1日の牛乳摂取量の目安はコップ1杯(200ml)程度です。
参考/厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年)

まとめ


牛乳は栄養が豊富なだけでなく、鉄の吸収を促進する効果があります。一方で、牛乳には鉄分がほとんど含まれていないので、貧血を予防するために牛乳と一緒に鉄分を多く含む食品を摂取し、日ごろから栄養バランスのいい食事を心がけましょう!