納豆は健康に良いだけでなく、手頃な価格で、体にも家計にも優しい食品です。
しかし、賞味期限が10日程度と短く、「食べきる前に期限が切れてしまった」という経験がある方も多いのではないでしょうか。
そんな時に役立つのが、納豆の冷凍保存です。
この記事では、
・納豆を冷凍保存するメリット
・具体的な冷凍保存方法
・保存期間と解凍のコツ
・冷凍納豆の簡単レシピ
について詳しくご紹介していきます。
目次
1. 納豆を冷凍保存するメリットは?
2. 納豆の冷凍方法
①パックごと冷凍する方法
②小分けにして冷凍する方法
③離乳食用に冷凍する方法
3. 冷凍した納豆は包丁で切れる!
4. 納豆の冷凍保存期間と解凍方法について
①納豆を冷凍した場合の保存期間
②納豆を冷凍した場合の適切な解凍方法!常温解凍よりも低温解凍がおすすめ
③急いでいる場合は電子レンジ解凍も可能!
5. 納豆を冷凍する際の注意点
①新鮮な納豆を冷凍する
②解凍後の再冷凍は避ける
③冷凍庫の温度を一定に保つ
6. 悪くなった納豆の見分け方
7. 解凍不要でラクラク!冷凍納豆を使ったレシピ3選
①冷凍納豆の味噌汁
②冷凍納豆のひんやりサラダ
③冷凍納豆のガーリックパスタ
8. 栄養満点!冷凍納豆を使った離乳食レシピ2選
①野菜と納豆のおかゆ/中期7~8ヶ月
②納豆ポテト/中期7~8ヶ月
9. まとめ
納豆を冷凍保存するメリットは?
納豆を冷凍することで、通常10日ほどの賞味期限を最大30日まで延ばすことができます。※1
スーパーでまとめ買いする方や、毎日食べるわけではないけれど、食べたい時に新鮮な状態で楽しみたい方には、冷凍保存がおすすめです。
これにより、納豆を無駄にせず、通常より長く美味しさをキープすることができるでしょう。
さらに、納豆に含まれる納豆菌はとても強力で、冷凍してもその栄養価や機能が失われることはありません。
納豆菌は「芽胞」という特別な殻を作り出し、極限環境でも生き残る力を持っています。
マイナス100℃でも生存可能なため、冷凍しても納豆の健康効果が保持されるというわけです。
参考までに、納豆1粒あたりには、約2億個もの納豆菌が含まれています。
納豆菌は、酸にも強い耐性を持ち、生きて腸まで到達するため、腸内環境の改善や免疫機能の向上にも寄与し、まさに体に嬉しいパワフルな菌と言えるのでしょう。※2 ※3
※参照1/2021.03.31|令和2年度 研究報告書 (第49号)
発行:茨城県産業技術イノベーションセンター
冷凍期間/解凍条件の違いにおける納豆の特性解析
著者:野口 友嗣(フード・ケミカルグループ)
※参照2/タカノフーズ株式会社|おかめ「納豆サイエンスラボ」|納豆の健康効果 納豆の発酵と健康成分
※参照3/タカノフーズ株式会社|おかめ「納豆サイエンスラボ」|納豆と免疫 納豆菌で免疫機能が向上する
納豆の冷凍方法
納豆を冷凍する際には、手軽に保存できる方法がいくつかあります。
ここでは、下記3つの冷凍保存方法についてご紹介していきます。
それぞれの方法ごとに違ったメリットがあり、用途やライフスタイルに合わせて使い分けることで、納豆を無駄なく、美味しい状態で楽しむことができます。
パックごと冷凍する方法
未開封の納豆パックをそのまま冷凍する方法です。
納豆を袋に入れて冷凍するだけなので手間もかかりませんが、冷凍庫のスペースを多く取ることがデメリットと言えます。
匂い移りや乾燥を防ぐために、ジップロックなどの密閉できる袋に入れてから冷凍することをおすすめします。
冷凍手順
1.未開封の納豆をフリーザーバッグのような密閉できる袋に入れ、そのまま冷凍庫で保存します。(タレやカラシは取らなくても問題ありません)
小分けにして冷凍する方法
納豆をラップで包み、小分けにして冷凍することで使い勝手が良くなります。
1回の食事で食べきれる量(例えば1パックの半分など)に分けて冷凍することで、必要な分だけ無駄なく使えるため、とても便利です。
また、風味や食感の劣化を抑えつつ、冷凍庫のスペースを節約できるので、コンパクトに保存したい方や、一人暮らしの方にもおすすめです。
冷凍手順
1.納豆をパックから取り出し、1食分ずつラップで包みます。スプーンを使って、パックと納豆の間に差し込むと、簡単に取り出せます。
2.ラップで包んだ納豆をフリーザーバッグに入れ、空気をしっかり抜いて冷凍庫で保存します。
◆ひとことアドバイス
・袋に日付を書いておくと、いつ冷凍したかがわかりやすく、管理がしやすいでしょう。
離乳食用に冷凍する方法
赤ちゃんがいる家庭では、納豆を離乳食用に冷凍保存する方法もあります。
納豆は栄養価が高く、離乳食に適した食材ですが、赤ちゃんが一度に食べる量はごく少量です。
そのため、あらかじめ小分けにして冷凍しておけば、必要な時に必要な分だけ使えてとても便利です。
冷凍手順
1.赤ちゃんの月齢に応じた1食分をスプーンで取り、ラップで包みます。
その際、納豆の粒をばらけさせずにひとまとまりにして包んでおくと、あとで切り分けやすくなります。
2.ラップで包んだ納豆をフリーザーバッグに入れ、空気をしっかり抜いて冷凍庫で保存します。
◆ひとことアドバイス
・袋に日付を書いておくと、いつ冷凍したかがわかりやすく、管理がしやすいでしょう。
・冷凍した納豆は、赤ちゃんの月齢に合わせた大きさに刻んでから、火を通して使用するのがおすすめです。
冷凍した納豆は包丁で切れる!
「冷凍した納豆を包丁で切ることはできるの?」
「硬くて刃が入らなさそう……」
と思う方もいるかもしれません。
冷凍納豆を切る際、多少の力は必要ですが、意外にも包丁で切ることができるのです。
さらに、冷凍することで通常の納豆よりも粘りが抑えられ、扱いやすくなります。
切る際には、キッチンペーパーを納豆の下に敷くと、まな板が汚れるのを防ぎ、滑り止めにもなるのでおすすめです。
納豆の冷凍保存期間と解凍方法について
納豆は冷凍することで通常の賞味期限より長く保存することができますが、適切な期間と方法で保存・解凍しなければ、風味や食感に影響が出ることがあります。
ここでは、最適な保存期間と解凍方法について詳しくご紹介します。
納豆を冷凍した場合の保存期間
研究結果によると、納豆を冷凍しても水分量に大きな変化は見られませんでしたが、冷凍期間が長くなると、品質に影響が出やすくなるということがわかりました。
特に、解凍後の食感が変わったり、色味も暗くなる傾向があるため、冷凍保存は30日以内にすることが推奨されています。※4
※参照4/2021.03.31|令和2年度 研究報告書 (第49号)
発行:茨城県産業技術イノベーションセンター
冷凍期間/解凍条件の違いにおける納豆の特性解析
著者:野口 友嗣(フード・ケミカルグループ)
納豆を冷凍した場合の適切な解凍方法!常温解凍よりも低温解凍がおすすめ
納豆を冷凍保存した場合、解凍方法によってその品質が大きく左右されることがわかっており、冷蔵庫内でゆっくりと解凍する方法が、納豆の風味や食感を最も保つことができるとされています。※4
冷蔵庫内で時間をかけて解凍することで、本来の品質に近い状態を維持しながら、美味しく楽しむことができるのでおすすめです。
一方、常温での解凍は納豆の品質を劣化させやすく、基本的にはおすすめできません。
長時間常温に放置することで、納豆の色が変わったり、風味が損なわれるリスクが高まります。
したがって、時間がある場合は冷蔵庫での低温解凍を優先することが理想的です。
急いでいる場合は電子レンジ解凍も可能!
もし急いで納豆を解凍する必要がある場合は、電子レンジでの解凍も可能です。
ただし、納豆に含まれる酵素やナットウキナーゼは熱に弱く、特に納豆キナーゼにおいては70度程度でその働きが弱まるとされています。※5
ナットウキナーゼは血栓の主成分に直接働きかけて溶解する作用があり※6、健康効果も期待されるため、過度な加熱は避けたいところ。
そのため、電子レンジで解凍する場合は、全解凍するのではなく、半解凍にとどめることをおすすめします。
1パック(45g)の場合は、20秒を目安に温めると、風味や栄養価を損なうことなく素早く半解凍できます。
なお、ご家庭のレンジによって加熱具合が異なるため、5秒ずつ追加して調整すると良いでしょう。
半解凍状態の納豆は、冷たさや、粒の凍った感じは残りますが、通常通りに食べられます。
また、パックのまま冷凍した納豆を電子レンジで解凍すると、タレやカラシが破裂する危険があります。
そのため、パックごと電子レンジにかけることは避け、パックから一度納豆を取り出し、ラップに包んだ状態で電子レンジにかけるようにしてください。
※参照5/株式会社 Mizkan Holdings|お客様相談センター 納豆を加熱しても成分は変わりませんか?
※参照6/タカノフーズ株式会社|おかめ「納豆サイエンスラボ」|納豆の発酵と健康成分
納豆を冷凍する際の注意点
納豆を冷凍する際は、いくつかのコツを押さえておくことで、解凍後も風味や食感を保ちながら楽しむことができます。
新鮮な納豆を冷凍する
冷凍する納豆は、できるだけ新鮮なものを選びましょう。
賞味期限が近い納豆はすでに風味や食感が落ち始めているため、解凍後にさらに品質が低下しやすくなります。
購入後すぐに冷凍することで、納豆の鮮度を保ちやすく、解凍後もより良い状態で食べることができるでしょう。
解凍後の再冷凍は避ける
一度解凍した納豆は再冷凍しないことが基本です。
再冷凍すると、納豆の水分が失われて食感が悪くなり、風味も低下するため、解凍後は早めに食べきるようにしましょう。
冷凍庫の温度を一定に保つ
冷凍庫内の温度が不安定になると、低温下で凍結と融解を繰り返すことになり、納豆の品質や風味が低下する可能性があります。
冷凍庫はできるだけマイナス18度以下に設定し、一定の温度を保つことが大切です。
悪くなった納豆の見分け方
冷凍保存した納豆でも、保存期間が長過ぎた場合や、適切に冷凍されていなかった場合、品質が変化してしまうことがあります。
冷凍・冷蔵に関わらず、以下のような変化が見られた納豆は、食べるのを避けるようにしましょう。
納豆がこのような状態になってしまったら、速やかに廃棄してくださいね。
解凍不要でラクラク!冷凍納豆を使ったレシピ3選
忙しい毎日でも手軽に作れる、冷凍納豆を使ったレシピを3つ紹介します。
冷凍納豆は解凍不要で使えるので、調理時間が短縮でき、忙しい朝やあと一品欲しい時にピッタリ!
食品の栄養価は、文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より引用しています。
冷凍納豆の味噌汁
冷凍した納豆は解凍せず、温まった味噌汁に直接加えるだけで、簡単に栄養豊富な一品が完成します。
納豆の粘りが味噌汁に程よく混ざり、風味豊かな仕上がりになります。
材料(2人分)
カロリー 150kcal(1人あたり)
冷凍納豆 1パック
味噌 大さじ2
出汁 400ml
お好きなきのこや野菜(まいたけ、なめこ、大根、わかめなど) 適量
作り方
1. 鍋に出汁を入れ、お好きなきのこや野菜を加えて煮ます。
2. 具が柔らかくなったら、味噌を溶き入れます。
3. 器に盛り、そこに冷凍納豆を加え、軽く混ぜたら完成です。
◆ひとことアドバイス
納豆は、味噌汁を器に盛りつけた後に加えるのがおすすめです。
これにより、納豆の風味や栄養をできるだけ損なわずに楽しむことができます。
冷凍納豆のひんやりサラダ
冷凍した納豆をそのままサラダに加えることで、解凍の手間なく手軽に冷たいサラダが楽しめます。
また、野菜に納豆を加えることで、栄養価がさらにアップします。
材料(2人分)
カロリー 130kcal(1人あたり)
冷凍納豆 1パック
レタス 100g
きゅうり 1本
トマト 大1個
☆ポン酢 大さじ2
☆ごま油 小さじ1
作り方
1. レタス、きゅうり、トマトを食べやすい大きさに切ります。
2.冷凍納豆は、1㎝角の大きさにザクザクと切ります。
3. 野菜をお皿に盛り、冷凍納豆をそのままトッピングします。
4. ☆をかけたら完成です。
◆ひとことアドバイス
納豆は解凍せず、凍ったままサラダにトッピングするのがおすすめです。
暑い時期にもさっぱりと食べられ、納豆の風味が引き立ちます。
その都度ドレッシングを変えれば、飽きずに楽しむことができるでしょう。
冷凍納豆のガーリックパスタ
冷凍納豆を使ったパスタは、手軽にできて栄養満点な一品です。
納豆の独特な風味が、オリーブオイルやにんにくと絶妙にマッチして、満足感のあるパスタに仕上がります。
材料(2人分)
カロリー 625kcal(1人あたり)
冷凍納豆 1パック
パスタ 200g
☆オリーブオイル 大さじ2
☆チューブにんにく 3㎝
麺つゆ 大さじ2
マヨネーズ 大さじ2
海苔・ねぎ(お好みで) 適量
作り方
1. パスタを、袋の表示通りに茹でます。
2. フライパンに☆を入れて香りが立つまで炒めます。
3. 茹でたパスタをフライパンに加え、冷凍納豆と醤油、マヨネーズを混ぜ合わせます。
4. 全体を軽く炒め、お好みで海苔やねぎをトッピングして完成です。
◆ひとことアドバイス
納豆は、茹でたてのパスタの熱で自然に解凍されるので、手間いらずでパスタに絡められます。
栄養満点!冷凍納豆を使った離乳食レシピ2選
納豆は、タンパク質やビタミンKが豊富で、成長期のお子様の発育をサポートする栄養満点な食材です。
ここからは、冷凍納豆を使った離乳食レシピを2つ紹介します。
野菜と納豆のおかゆ/中期7~8ヶ月
冷凍納豆を使って、手軽に栄養豊富な離乳食が作れます。
納豆は細かく刻んでおかゆに混ぜることで、赤ちゃんが食べやすくなり、たんぱく質やビタミンも一緒に摂取できます。
材料(1食分)
カロリー66kcal(1人あたり)
冷凍納豆 12g(1/4パック)
おかゆ(全粥) 50g
にんじん 10g
かぼちゃ 10g
出汁 少量
※7
作り方
1. にんじん・かぼちゃ・冷凍納豆を細かく刻みます。
2.にんじんとかぼちゃは火が通るまで時間がかかるので先に茹でておき、ある程度火が通ってきたら納豆を加えます。
舌でつぶせる硬さになるまで柔らかく茹でたら、湯切りしておきます。
3. おかゆを火にかけ、茹でた野菜と冷凍納豆を混ぜ合わせ、出汁で味を整えます。
4. 全体に火が通ったら完成です。
◆ひとことアドバイス
お好みで野菜の種類を変えると、バリエーションも楽しめます。
※参照7/厚生労働省|授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)
納豆ポテト/中期7~8ヶ月
じゃがいもの豊富な食物繊維と納豆の栄養を一度に摂れる、栄養満点な一皿です。
材料(1食分)
カロリー 32kcal(1人あたり)
冷凍納豆 12g(1/4パック)
じゃがいも 10g
にんじん 10g
茹で汁 小さじ1
※8
作り方
1. にんじんとじゃがいもは火が通るまで時間がかかるので先に茹でておき、ある程度火が通ってきたら納豆を加えます。
柔らかく茹でたら、湯切りしておきましょう。
2. 1の茹で汁は、小さじ1杯分別に取っておきます。
3. 1を粗くすりつぶし、2で取っておいたゆで汁を混ぜ合わせたら完成です。
◆ひとことアドバイス
3の工程で、湯ではなく粉ミルクを湯で溶いたものに代用しても良いでしょう。
※参照8/厚生労働省|授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)
まとめ
納豆の冷凍保存は、賞味期限を延ばし、栄養価を保ちながら無駄なく消費できる便利な方法。
適切な保存と解凍を行うことで、納豆の風味や品質を保持しながら、約1ヶ月間保存することが可能です。
忙しい日々でも、冷凍納豆を活用すれば、調理時間を短縮しつつ、栄養を効率よく摂取できるため、日々の食卓に取り入れてより健康的な食生活を目指してみてはいかがでしょうか。
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