きゅうりは1年中スーパーで手に入る便利な野菜で、サラダや付け合わせ、漬物など様々な料理に活躍します。
しかし、きゅうりの栄養価についてはあまり知られていないかもそれません。
「きゅうりには栄養がない」という噂を耳にした方もいるかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょうか?
なぜこのような噂が広まったのか、その背景を探るとともに、きゅうりに含まれる本当の栄養成分やその健康効果について詳しく解説します。
また、栄養を効率よく摂取するためのおすすめの食べ方や、時短レシピなど、役立つ情報も併せてご紹介しますので是非最後までお楽しみください。
目次
1. きゅうりに栄養がないはウソ!実は栄養豊富な野菜だった!
2. きゅうり1本(100gあたり)の主な栄養成分表
3. きゅうりに含まれる栄養素4選
① カリウム
② ビタミンC
③ ビタミンK
④ 食物繊維
4. きゅうりをもっと美味しく健康的に!栄養を引き出す食べ方を紹介
③ きゅうりをより美味しく栄養満点に!意外な組み合わせで栄養UP!
5. きゅうりの苦み成分「ククルビタシン」に注意!
6. きゅうりを長く美味しく楽しむ!栄養を損なわない保存方法
7. きゅうりで簡単!冷蔵庫にあるものでサッと作れる時短料理を紹介
② 「きゅうりとツナの中華風サラダ」でエネルギー代謝を活発に!
8. おわりに
きゅうりに栄養がないはウソ!実は栄養豊富な野菜だった!
「きゅうりに栄養がない」という噂が広まったその背景には、ギネス世界記録が関係している可能性があります。
実はきゅうりは「最も熱量(カロリー)の低い果物」としてギネスに認定されており、これが「栄養が最も少ない野菜」という誤解を招いたようです。(※1)
しかし、カロリーが低い=栄養がないわけではありません。
確かに、きゅうりは約95%以上が水分で、100gあたりのカロリーも13kcalと非常に低いのですが、それだけで栄養がないとは言えません。
きゅうりには、ビタミンやミネラルなど私たちの体に必要な栄養素がバランスよく含まれているのです。(※2)
ここからは、きゅうりに含まれる豊富な栄養成分について、さらに詳しく掘り下げていきます。
※ 参照1/ Guinness World Records Ltd.|世界一、世界記録のきゅうりの世界を覗く きゅうりとギネス世界記録
※ 参照2/ 文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 きゅうり(果実・生)より
きゅうり1本(100gあたり)の主な栄養成分表
「きゅうりには栄養がない」という誤解は解消されましたが、実際にどのような栄養素がどのくらい含まれているのでしょうか。
ここでは、きゅうり1本(100g)に含まれる主な栄養成分を一覧で見ていきます。
栄養素 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
エネルギー | 13 kcal |
水分 | 95.4 g |
炭水化物 | 3.0 g |
カリウム | 200 mg |
ビタミンC | 14 mg |
ビタミンK | 34 μg |
食物繊維 | 1.1 g |
β-カロテン | 330 μg |
ビタミンB1 | 0.03 mg |
タンパク質 | 1.0 g |
ビオチン | 1.4 μg | リン | 36 mg |
※ 参照3/ 文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 きゅうり(果実・生)より
きゅうりに含まれる栄養素4選
さて、きゅうり1本に含まれる主な栄養成分表を見ていただいたところで、次はその栄養素をもう少し詳しく見ていきましょう。
今回は、特に注目したい4つの栄養素をピックアップしてご紹介します。
カリウム
体内の塩分濃度を調整
カリウムは、私たちの体に欠かせないミネラルの一つであり、細胞内の液体のバランスを整えたり、体の酸性とアルカリ性のバランスを保ったりする役割を担います。
特に、塩分を多く摂り過ぎると、体内の塩分濃度が高まりやすくなりますが、カリウムはこれを調整し、余分な塩分を排出するのを助けます。(※4)
むくみ予防に効果的
むくみは、体内に余分な水分が蓄積されることで起こります。
塩分の過剰摂取がむくみの一因(※5)となりますが、きゅうりに含まれるカリウムがその解消をサポートしてくれるのです。
カリウムは、余分な塩分を尿と一緒に排出し、むくみを予防してスッキリとした体へ導く役割を担ってくれます。(※4)
※参照4/ 厚生労働省|e-ヘルスネット カリウム
※参照5/ 厚生労働省|e-ヘルスネット ナトリウム
ビタミンC
コラーゲン生成をサポート
ビタミンCは、コラーゲンの生成に欠かせない栄養素です。
コラーゲンは、肌や骨、血管などの構造を維持するために重要で、ビタミンCが不足するとこれらの組織の修復が遅れる可能性があります。
(※6)
抗酸化作用で体を守る
ビタミンCには抗酸化作用があり、細胞を酸化から守る働きがあります。
酸化は、細胞を傷つけ、老化や様々な病気を引き起こすリスクを高める要因となります。
ビタミンCの働きにより、こういった酸化のリスクを軽減できるため、積極的に摂取していくことをおすすめします。 (※7)(※8)
※参照6/ 厚生労働省|「統合医療」に係る 情報発信等推進事業 ビタミンC
※参照7/ 独立行政法人国立健康・栄養研究所|研究紹介:糖尿病でビタミンCがなぜ足らなくなる?
※参照8/ 厚生労働省|e-ヘルスネット 活性酸素と酸化ストレス
ビタミンK
血液凝固をサポート
ビタミンKは、血液凝固に必要な成分(プロトロンビンなど)を活性化することで、出血を止め、止血に重要な役割を果たします。
骨と血管の健康を維持
ビタミンKは、骨にカルシウムを定着させる役割を果たし、骨を丈夫にする上で欠かせない栄養素です。
さらに、血管の健康維持にも貢献し、動脈の石灰化を予防する効果も期待されます。これにより、動脈硬化のリスクを軽減してくれる可能性があるのです。 (※9)
※参照9/ 厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版) ビタミンK p.192
食物繊維
腸内環境を整える
きゅうりには、「不溶性」と「水溶性」の2種類の食物繊維が含まれており、これらが腸内の健康を支えます。
・不溶性食物繊維は、腸の動きを活発にし、便の量を増やして便秘を解消します。
・水溶性食物繊維は、腸内細菌のエサとなり、腸内環境を整える役割を果たします。 (※10)
生活習慣病の予防
食物繊維は、体内の余分な脂質や糖質を吸着し、排出する働きがあります。
これにより、肥満や糖尿病といった生活習慣病のリスクを低減する効果が期待できます。(※11)
※参照10/ 厚生労働省|e-ヘルスネット 便秘と食習慣
※参照11/ 厚生労働省|e-ヘルスネット 食物繊維
きゅうりをもっと美味しく健康的に!栄養を引き出す食べ方を紹介
生で食べるからこそ味わえるフレッシュな栄養と食感
きゅうりは、水分量95%以上を誇るみずみずしさから、暑い季節や地域では水分補給に役立つ食材として重宝されてきました。
このフレッシュさこそが、きゅうりの最大の魅力ですね。
生で食べることで、きゅうりが持つ豊富な水分に加え、ビタミンCやカリウムなどの栄養素を効率よく摂取できます。
これらの栄養素は、熱に弱く、水に溶けやすい性質を持ち、加熱や水にさらすことで失われがちです。 (※12)(※13)
そのため、きゅうりは生のままで食べることをおすすめします。
さらに、きゅうりのシャキシャキとした食感は、口の中をさっぱりとさせ、食欲増進にも効果的です。
特に暑い夏場には、水分補給と栄養補給を同時に叶える理想的な食材と言えるでしょう。
※参照12/ 独立行政法人国立健康・栄養研究所|ビタミンについて
※参照13/ 石川県健康福祉部健康推進課|野菜の健康科学ブック
皮ごと食べれば栄養も美味しさもUP!
きゅうりの栄養は、皮にもたっぷり。
β-カロテンなどの栄養素が含まれており、皮ごと食べることで栄養を丸ごと摂取することができます。(※14)
※参照14/ 独立行政法人農畜産業振興機構|四季の野菜の健康と栄養 ~生活習慣病予防効果のあるたまねぎと疲労回復効果のあるきゅうり~
皮の気になるニオイ対策に
しかし、きゅうりの皮には、特有の青臭さがあるため、皮ごと食べることに抵抗がある方もいるかもしれません。
そんな時は、板ずりがおすすめです。
板ずりとは、きゅうりをまな板の上で塩をつかってこすりつける簡単な方法で、青臭みを効果的に取り除き、より食べやすくすることができます。
板ずりをすることで、きゅうりの風味も引き立ち、より美味しくいただけます。
よろしければお試しください。
きゅうりをより美味しく栄養満点に!意外な組み合わせで栄養UP!
きゅうりは、そのままでも十分美味しい野菜ですが、実はある食材と組み合わせることで、栄養効果をさらにアップさせることができます。
その食材が「油」です。(※15)
きゅうりには、ビタミンKやβ-カロテンなどの脂溶性ビタミンも含まれていますが、油と一緒に摂ることでこれらのビタミンの吸収率が向上します。
おすすめの組み合わせとしては、ごま油やオリーブオイル、ナッツ類が挙げられます。
※参照15/ 厚生労働省|e-ヘルスネット 緑黄色野菜
油×きゅうり 簡単アレンジレシピ例
油ときゅうりを一緒に摂るための具体的なアレンジ料理をご紹介します。
油の使用量には気を付けましょう
ただし、油はカロリーが高いので、使用量には注意が必要です。
例えば、ごま油やオリーブオイル大さじ1杯(134kcal )は、ご飯小盛り1杯(156kcal )とほぼ同じカロリーです。(※16)
油を使う際は、適量を心がけることが大切ですね。
※参照16/ 文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 ごま油・オリーブ油( 植物油脂類 )より
きゅうりの苦み成分「ククルビタシン」に注意!
きゅうりやズッキーニ、ユウガオ、ニガウリなどのウリ科の野菜には、まれに強い苦味が出ることがあります。
原因は「ククルビタシン」という成分によるものです。
普段とは違う激しい苦味を感じたら、無理に食べないようにしましょう。
ここからは、ククルビタシンについて知っておくと役立つ情報をQ&A形式でご紹介します。
ウリ科の野菜は通常は安全な食べ物ですが、強い苦みがある場合は注意が必要です。
出会う機会はあまりないかもしれませんが、頭の片隅に「苦みの強いウリ科の野菜には要注意」と覚えておくと良いでしょう。(※17)(※18)
※参照17/ 和歌山県|ウリ科野菜・果物の苦みが強すぎると感じたら
※参照18/ 厚生労働省|「自然毒のリスクプロファイル:高等植物:ユウガオ」
きゅうりを長く美味しく楽しむ!栄養を損なわない保存方法
きゅうりの最適な保存温度
きゅうりは冷蔵庫で保存するのが一般的ですが、冷やし過ぎには気を付けましょう。
なぜなら、保存温度が低すぎると、ビタミンCが減少する可能性があるからです。(※19)
きゅうりにとって最適な保存温度は10~15度とされており、冷蔵庫の野菜室がこの範囲に近いため理想的な保存場所と言えるでしょう。
※参照19/ 独立行政法人農畜産業振興機構|きゅうり 胡瓜 産地 野菜 栄養 機能性 調理
きゅうりを冷蔵保存する際のコツ
きゅうりを冷蔵保存する際は、まず新聞紙やキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れ立てて保存するのがおすすめ。
これは、収穫された状態に近い環境を作ることで、鮮度を長持ちさせる方法です。
また、きゅうりが濡れていると傷みやすくなるため、しっかりと水分を拭き取ってから保存するようにしましょう。
これらのことを心掛けるだけで、きゅうりの栄養をしっかり閉じ込め、美味しいきゅうりを長く楽しむことができます。
是非、ご家庭でも実践してみてくださいね。
きゅうりで簡単!冷蔵庫にあるものでサッと作れる時短料理を紹介
きゅうりのみずみずしい食感と豊富な栄養を存分に味わってみませんか?
ここからは、冷蔵庫によくある食材で簡単に作れるきゅうりを使ったレシピを3品ご紹介。
きゅうりをはじめ、合わせる食材の栄養についても詳しく解説していきますね。
食品の栄養価は、「文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より引用しています。
「梅きゅうり納豆」は疲労回復や夏バテにおすすめ!
材料(2人分)
カロリー58kcal(1人あたり)
きゅうり 1本(100g)
納豆 1パック(45g)
梅干し(中粒) 2個(20g)
麺つゆ(3倍濃縮)大さじ1
作り方
①きゅうりを千切りにする。
②ボウルに、納豆・種を除いた梅干し・麺つゆを入れて混ぜる。
③上記①と②を混ぜ合わせれば完成。
食材の栄養について深掘り!
きゅうりや納豆に含まれるビタミンB1は、私たちの体でエネルギーを作り出すうえで欠かせない栄養素です。
「疲労回復ビタミン」とも呼ばれ、不足すると疲れやすくなったり、だるさを感じたりする原因になります。(※20)
梅干しに含まれるクエン酸は、疲労の原因となる乳酸を分解し、体外に排出する働きがあります。
スポーツの後や仕事で疲れた時などに、疲労回復を促し、新しいエネルギーを生み出す力をサポートしてくれるでしょう。 (※21)
※参照20/ アリナミン製薬株式会社|ビタミンB1はなぜ必要?ビタミンB1の働きや効果的な摂り方も紹介
※参照21/ 農林水産省|消費者の部屋通信(令和3年8月号)
「きゅうりとツナの中華風サラダ」でエネルギー代謝を活発に!
材料(2人分)
カロリー163kcal(1人あたり)
きゅうり 1本(100g)
ツナ缶(油漬け) 1缶(70g)
玉ねぎ 1/4個(50g)
☆麺つゆ(3倍濃縮)大さじ2
☆酢 大さじ1
☆ごま油 大さじ1/2
作り方
①きゅうりと玉ねぎを薄切りにする。
②ボウルに、全ての食材と☆を入れ、混ぜ合わせれば完成。
食材の栄養について深掘り!
きゅうりにはエネルギー代謝に欠かせないリンが含まれています。
リンは、体内でエネルギーの生成と貯蔵をサポートする働きがあり、きゅうりを食べることで、効率よくエネルギーを活用することができます。(※22)
ツナ100gには、きゅうりにほとんど含まれない良質なタンパク質が18.8gも含まれています。(※23)
タンパク質は、筋肉を作るために不可欠な栄養素。筋肉量が増えると、基礎代謝が上がり、寝ている間もカロリーを消費しやすくなります。(※24)
※参照22/ 厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版) リン p.289‐310
※参照23/ 文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 かつお類(缶詰・油漬・フレーク)より
※参照24/ 厚生労働省|e-ヘルスネット 身体活動とエネルギー代謝
「きゅうりとわかめのくずし豆腐」で肌や粘膜を健やかに!
材料(2人分)
カロリー125kcal(1人あたり)
きゅうり 1本(100g)
絹ごし豆腐 1丁(300g)
カニかまぼこ 4本(28g)
乾燥わかめ 5g
麺つゆ(3倍濃縮)大さじ2
作り方
①豆腐はキッチンペーパーで水切りする。
②乾燥わかめは水戻ししておく。
③きゅうりは薄切りし、カニかまぼこは手で食べやすい大きさに割く。
④ボウルに全ての材料を入れ、豆腐を手で崩しながら混ぜ合わせれば完成。
お好みで、生姜や白ごまを入れると風味が加わり、また違った味わいを楽しめます。
食材の栄養について深掘り!
きゅうりに含まれるβ-カロテンは、体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を健康に保つ役割があります。
さらに、細胞の成長と修復を助けることで、肌の滑らかさを保つ作用もあります。(※25)
豆腐には、ビオチンが含まれており、β-カロテン同様、皮膚や粘膜の健康を維持するのに重要な栄養素です。(※26)
また、健やかな皮膚や髪の毛を作り出すために必要なたんぱく質も多く含まれています。 (※27)
※参照25/ 東邦大学|肌とビタミンA・EとコエンザイムQ p.1~4
※参照26/ 厚生労働省|薬事・食品衛生審議会 資料2-2
※参照27/ 厚生労働省|e-ヘルスネット たんぱく質
おわりに
この記事では、きゅうりの栄養について詳しくご紹介しました。
きゅうりには栄養がないと思われがちですが、実際にはビタミンCやカリウムなど、私たちの健康維持に役立つ栄養素が豊富に含まれています。
これらの栄養素をしっかり摂取するために、調理法や相性の良い食材との組み合わせを工夫し、日々の食生活に上手に取り入れていくことをおすすめします。
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